中国 上海で出産するということ

BabyPhoto 2013年末に初めての子が生まれました。
健康に生まれてくれて、今のところ体調を崩すことなく順調に育ってくれています。
最近上海で出産する日本の方も増えているようですので、参考までに上海で出産することについてメモしておきたいと思います。

まとめの一言
病院や出産方法など、妻と相談して決めましたが、基本的には妻の希望を優先しました。
今振り返ると、納得のいく選択だったと思います。

どこで産むか
妻の妊娠が分かって、まず考えたのは日本で生むか、上海で生むかということです。
もちろん日本の医療サービスの方が安心感はダントツなのですが、私の妻はフルタイムの仕事を持っているので長期間上海を離れるのも難しく、また上海人なので上海だと妻の実家や親戚のサポートが受けられることから、上海での出産に決めました。

日本人なら多くの方は日本に戻って出産されると思いますが、最近は上海に家族で赴任してくる方も増えており、子供の学校の都合などで、上海で出産する方も増えてきているようです。

病院を選ぶ
中国の医療サービスは日本と比べるとかなり遅れています。
機材は最新のものが揃っているのですが、医師や看護師の対応は悪く、入院するとなるとソフト面はかなりの不安があります。

妻は周りの友人などからオススメの病院を聞き、いろいろと情報収集していたようです。
候補に挙がったのは、

ユナイテッド・ファミリー(和睦家)病院
アメリカとの合弁病院で総合病院だそうです。
欧米人にも人気の病院のようで、「子供が生まれた」と言うと、「ユナイテッド?」と聞かれるくらいです。

アメリカン・シノ(美華)病院
アメリカとの合弁病院で産科・小児科の専門クリニックです。
出産時は提携している崋山病院で出産します。

の2カ所で、友人の意見などをもとにアメリカン・シノを選びました。
その後調べてみると、日本人には国際和平病院のVIPフロア、ユナイテッド・ファミリー病院が人気のようです。

病院のシステム
アメリカン・シノでは、出産パッケージのようなものがあり、病院を決めた段階でパッケージを購入します。パッケージには毎月の検診やセミナー、出産、入院費用などが含まれています。
帝王切開や各種オプションを選択した場合は、追加料金がかかります。

診察は事前に予約を取るシステムなので、待ち時間もほとんどありません。
検査、診察もとても丁寧にやってくれます。

アメリカン・シノはクリニック部門は崋山病院近くの普通のオフィスビルの1フロアを使用しています。院内はとても清潔な内装です。
出産専門病院なので、医師や看護師も子供に特化していて、みなさんとても親切で丁寧です。ソフト面では日本と変わらないレベルだと思います。
また出産専門ということで、病気でくる患者さんがいないので、通院時に風邪などをうつされる可能性も低く、衛生面では安心でした。

性別の告知
中国では基本的に出産前に性別を告知することが法律で禁止されています。
一人っ子政策で、伝統的に男の子を歓迎する傾向があるためです。
外資系クリニックで、外国人の場合は教えてもらえるようで、私たちも事前に教えてもらいました。

出産方法
中国では帝王切開を希望する人も多く、病院側も極力妊婦のリクエストに応えます。
日本では「産みの苦しみ=愛情」的な精神論も根強い人気のようですが、私はナンセンスだと思うので、ここは妻が一番不安なく産める方法を選択することにしました。

妻は極力自然出産でとの考えでしたが、定期検診でかなり大きく成長していることが分かりました。4キロを超えそうということで、自然分娩がうまくいかず緊急手術となった場合、予定の医師が執刀できない場合があるとのことだったので、帝王切開を選択しました。

出産
アメリカン・シノはクリニックのため、出産は提携している崋山病院で行います。
とは言っても、崋山病院に入院するわけではなく、病棟の1フロアがアメリカン・シノ専用になっていて、個室が12室と手術室、ナースステーションなどが揃っています。
エレベーターを降りると警備員がいて訪問先をチェックし、関係者以外が専用エリアに入らないようになっていますし、エリアに入る際も靴底をきれいにするよう徹底されています。
フロア、個室ともに日本の病院と変わらない清潔な内装で、個室も2人用の部屋を改装してあるため広いです。ソファーベッドもあるので、家族も泊まることができます。
一度手続きのために他のフロアへ行きましたが、あまりの差にビックリしました。

廊下などですれ違う人たちをみていると、半数が外国人と中国人のカップル、半数が中国人同士のカップルといった比率です。

手術前には看護師、麻酔医、執刀医、が順番に部屋に来て様々な確認をしていました。
手術の際は家族も手術室に入ることができます。
私は直前に風邪をこじらしてしまったため断念しました。トホホ。

手術はあっと言う間でした。
生まれると赤ちゃんも妻の病室で一緒に過ごします。

看護スタッフの数も多く、呼べばすぐに来てもらえますし、ミルクやおむつなど、自分で好みのものがあれば、それを渡して使ったもらうこともできます。
うちははじめ病院から提供された欧米ブランドのローカル生産品のおむつを使いましたが、肌が赤くなったので、すぐに日本製に切り替えました。
ミルクははじめから日本製のもののみを使っています。

医師、看護師ともに英語のできる人がほとんどで、検査結果なども英語で説明してくれるので安心です。また生まれてすぐにいくつかの予防接種や検査があるのですが、輸入ワクチンや検査項目の追加などをオプションで選択できます。

入院期間
出産のための入院期間は、日本と比べると短いようです。
自然分娩で3泊4日、帝王切開で4泊5日が標準で、出産後の体調により退院日が決まります。
退院の際は自宅までクリニックの車で送ってもらえます。
アメ車のでっかいバンで子供と一緒にゆったり送って貰います。

自宅での体調回復
中国では出産から1ヶ月間は「坐月子」といって、様々なルールのもと、集中的に体調回復させます。月子専門の家政婦さんがいたり、月子センターという専門の滞在施設もあります。
この月子センター、高級ホテル並みの滞在費用がかかるとか。
うちの場合は、家族親戚が上海にたくさんいるので、専用の食事だけをデリバリーしてもらいました。月子餐というそうですが、体調回復や母乳が出るようにするための専用レシピです。全体的に薄味でスパイスなどの刺激物も使っていないので、中国の人にとっては美味しくないようですが、日本人にはちょうどいいかも。
私もよくつまみ食いしましたが美味しかったです。
配達しれくれるとはいえ、1日400元(当時のレートで6800円ほど)もします。
美味しいビジネスですね。

その後の検査はクリニックで
誕生2週間後、1ヶ月後の検査、予防接種などはまたクリニックで行います。
ここからは小児科の部類に入るのか、出産前・出産時とは別の医師が担当します。
医師は患者が指定することができるので、出産時に看護師から聞いた評判のいい医師に担当いただきました。

費用
中国は出産や医療サービスに限らず、現地基準であれば日本と比べてかなり割安ですが、日本並みのサービスレベルなど「特別対応」してもらうとなると、日本よりかなり割高になります。
でもこれは中国だけのことではなく、特別対応はどこでもお金がかかるんだと思います。

日本で出産する場合、検診や出産で50万円ほどかかるようですが、 アメリカン・シノやユナイテッド・ファミリーはその数倍といったところです。(特に円安なので円換算してしまうと割高感が更に高まりますが…)
絶対金額としては高いですが、上海で産むと決めた時点で割高なのは仕方ないですし、子供の人生のスタートで事故に遭わせるわけにもいかないので納得しています。

感想
上海での出産に決めたのは大正解でした。
妻の実家や親戚の手厚いサポートで、妻も私も大変助かっています。
心配していた病院のサービスも、中国でもできるんだとビックリのレベルでした。
妻にとっても、このサービスレベルなら、母国語で意思疎通できる上海の病院の方が良かったのではないかと思います。

中国で良いと思うのは選択肢の広さです。
中国の医療制度は悪くなく、企業に属していれば健康保険に入れて、大きな自己負担なく医療サービスを受けることができます。しかも病院の設備は最新機器が揃っています。
ただし、病院はいつも混んでいるので待ち時間が長かったり、医師や看護師の態度は横柄だったりします。
一方でお金さえ出せば、日本以上に丁寧な医療サービスを受けることができます。
医師も患者が納得するまで説明してくれるし、希望すればいろいろな検査をしてくれます。
私も駐在員用の海外旅行保険のおかけで、自己負担なく丁寧な医療サービスを受けるのに慣れてしまったので、たまに日本の病院へ行くと、自分の不安が解消されない事にストレスが溜まるようになってしまうくらいです。
ただし悪質な病院もあるようで、外国人が自己負担がないため費用を気にしないことをいいことに、不要な高額検査を繰り返し、知らない間に保険会社のブラックリスト入りして保険更新できないトラブルも起きているようですが…

このあたり、ビジネス的にもとても参考になります。
中国、特に上海のような大都市には、日本では想像できないようなお金持ちがたくさんいます。
彼らが求めているのは、突き抜けた「特別サービス」であり、その点では選択肢の幅が広い上海のサービスは実は日本のサービスよりも彼らの要求に応えられているんだと思います。
日本にもお金持ちはいますが、中国のお金持ちほど無茶な要求しなさそうですから、サービスとして標準化されるほどのニーズではないんでしょうね。

 

とても貴重な体験でした。